打ち豆は豆をさっと水に浸して乾燥させ、それを平べったく打っただけのものです。しかし豆をそのままつぶしているので、良質な植物性タンパク質、イソフラボン、食物繊維などの栄養が豊富なヘルシーな食材です。煮えにくい豆を打って平べったくしただけなのに、火の通りが早く非常にあつかいやすい食材でこれほど先人の知恵の凝縮されたものはないと思います。また、乾燥食品なので常温で長期保存ができます。

　幼かった頃、初冬、大豆の収穫が終わると、天気の悪い日には農家のおばあさん方は、手ぬぐいをかぶって土間の片隅で打ち豆を作っていたものです。自分の家族の分、そして嫁に出した娘の分、都会に出た息子の家族の分、と一粒ずつ木槌で豆を打っては思いをめぐらしていたのだと今になって思います。何気なく食べていた具沢山のみそ汁や野菜の干し物の煮物には必ず打ち豆が入っていました。・・・今、打ち豆も機械で打つ時代となり、食生活も変化してきましたが“元気であれ！！幸せであれ！！”と食べ物に込められた想いは何時の時代も同じであり、その願いを大事にして食べて下さる皆様と結ばれて行きたいと思います。